REVIEW
『ZEDER/死霊の復活祭』は、イタリア製ゾンビ・ホラーの中で最も不気味で独創的な作品だ。スティーブン・キングは、自著『ペット・セマタリー』の中で本作のディテールを余すことなく利用している。イタリアン・ホラー、最後の傑作と言えるだろう。
『Spaghetti NIGHTMARES』1996刊
INTRODUCTION
死者の復活を科学的/神秘的に探究したイタリアン・ホラーの野心作、日本初公開!
【Kゾーン】―それは一見普通の土地だが、死者と接触できると信じられていた。この地では時間も季節もなく、成長も死も存在しない。無の世界ゆえに、死からの帰還が可能になるという。その地を発見したパオロ・ゼダーは、「バチカン市国・秘密文書保管所」に出入りする正体不明の人物だったが、失踪し、その行方を知る者は誰もいなかった・・・。
『ZEDER/死霊の復活祭』は、『笑む窓のある家』のプピ・アヴァティ監督が手掛けたホラー・ジャンルにおけるもう一本の代表作。欧米では“ゾンビ映画”の一本として語られることが多いが、『ゾンビ』や『サンゲリア』などの作品とは対極に位置する、死者の復活を科学的/神秘的に探究した野心作だ。謎が謎を呼ぶパオロ・ゼダーと【Kゾーン】をめぐる生と死と陰謀のミステリー。巨大な廃墟を舞台に、遂に死者が復活する阿鼻叫喚のクライマックス、そして驚愕と悲哀に満ちたそのラストは、観る者の心を激しくかき乱すに違いない。
STORY
“ようやく死の境界線が破られた。私の身体は地中に埋められ、復活の時を待つ”
小説家ステファノは、妻アレッサンドラから中古のタイプライターを贈られた。中にはインクリボンが残されたままで、巻き取られたリボンには【Kゾーン】という謎の言葉が刻印されていた。ステファノは専門家の意見を求め、大学にケージ教授を訪ねた。教授は、【Kゾーン】を発見したのはパオロ・ゼダーという人物で、その場所では昔、死者と接触できると信じられていたという。次いでステファノは、タイプライターの持ち主だったコスタ神父を教会に訪ねるが・・
CAST
ガブリエレ・ラヴィア
ステファノ
1942年10月10日、ミラノ出身。俳優、声優、映画監督、舞台演出家、オペラ演出家など多彩な活動で知られる。主要出演作に『わが青春のフロレンス』(70/クレジットなし)、『デアボリカ』(74)、『サスペリアPART2』(75)、『インフェルノ』(80)、『スキャンダラス・鏡の中の背徳』(85/兼監督・原案・脚本)、『ベレッタの女/最後の誘惑』(86/兼監督・原案・脚本)、『海の上のピアニスト』(98)、『スリープレス』(01)、『リメンバー・ミー』(03/未)、『シチリア!シチリア!』(09)、アヴァティ監督の近作『La quattordicesima domenica del tempo ordinario』(23)にも主演している。
アンヌ・カノヴァス
アレッサンドラ
1957年10月25日、アルジェリア出身。日本紹介作に『アリア』(87/ロバート・アルトマン監督のパート)、『クロス・マイ・ハート』(87)、『ゴッホ』(90)、『プレタポルテ』(94)、「女警部ジュリー・レスコー」(02/TV)、『ル・ディヴォース/パリに恋して』(03)、『クレールの刺繍』(04)、『EVA<エヴァ>』『そして友よ、静かに死ね』(11)、「クリスティのフレンチ・ミステリー」(14/TV)、「刑事ファルコ 失われた22年」(TV/15)、「アルフォンス~君の男~」(23/TV)などがある。